「おれんぢ。」
きっと、あなたが欲しいのは、
ほんとになんとかしてくれる
本物の強さや賢さじゃないのです。
なんとかしてくれそーだという
根拠や理由のいらない期待感ですか。
薄っぺらでも、空っぽでも気にしない。
もちろん、あなたの胸には、
それを信じられるだけの潔さがある。
僕には何もないけれど、
いつもあなたを守ってやると
大声で嘘をつくことはできます。
そして、あなたは、この嘘ですら、
大切に信じてくれるのです。
困ったものです。身動きがとれない。
いつからか、嘘をつくのが下手になった。
いつからか、嘘をつくのが嫌いになった。
そこには理由はなくて、ただあなたが。
守っているつもりで、包まれながら、
騙しているつもりで、見守られながら。
少しずつ、強くなっていくのです。
少しずつ、優しくなっていくのです。
※「しあわせが、しあわせを、みつけてきた。」(アルファポリス刊)より
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